人口ゼロからの挑戦。「加点法」でのまちづくり。

 福島第一原発から北へ7kmの浪江町。原発事故により21,000の全町民が強制避難を余儀なくされ、全国の600自治体に分散避難していた。町の8割は今も立ち入りが規制されている帰還困難区域。海、山、川、田畑…日本中の当たり前な風景が広がっていても、誰も住めない町となり、避難指示解除後も、超・少子高齢化が予想されていた。多くの人がこの町の復活を願いつつも、どこか信じ切れずいたかもしれない。
 だが、震災から丸6年が経過し、除染が完了した2割の地域が2017年3月31日に避難指示解除を迎えた。今はまだ300人たらず、1%程度の帰還率だが、人々の思考が減点法から加点法へ大転換する、大きな潮目を迎えた瞬間だった。何もない所からのスタートだからこそできるまちづくり。その現場にはシンプルだけれども、大切なことがたくさん詰まっている。

  • 開催期間

    2017年9月29日(金)~10月1日(日)

  • 主な会場

    福島県浪江町

  • 参 加 料

    5万円(東北オープンアカデミーメンバーシップ登録料含む)

  • 定  員

    10名

人口ゼロからの挑戦。「加点法」でのまちづくり。

機会も担い手も、必要なものは自分たちでつくる

「一軒ずつ、明かりが灯るのが嬉しい」「最近、駅前の飲み屋が再開した」。
このまちをどう再生させていきたいか。これまで遠く避難先での議論では感じられなかったことが、いま一つずつ、手触り感のある議論に代わっている。
人口が減った後どうすればいいのか、まちは本当に再生できるのか。足りないもの、減ったものを探し出したら切りがない。でも、ゼロからだと思えば、全ては加点法。一つずつ、一人ずつ何かが始まっていくことが、全て楽しみであり喜びになる。使われないままになっている広大な田んぼを何に使うか。空き地になった駅前の空間で、週末限定「駅前キャンプ場」を帰還準備でまちに通う人たちと一緒にやれないだろうか。こんな議論を前向きにやる空気感が、まちの中に生まれている。

人口ゼロからの挑戦。「加点法」でのまちづくり。

どこよりも自由な仕事、どこよりも多様な住民へ

帰還が始まる前は、最も過酷なまちづくりだと思っていた。でも働き手はいないと諦めていた人がいる一方で、戻りたいけど仕事がないと町長に相談する住民がいたり、行政の採用枠に年齢制限を50歳まで引き上げると100人もの応募があったり。実はやり方を工夫すれば、まだまだ関わりたい人、働きたい人、戻りたい人はたくさんいる。
そんな人たちと機会を一つずつつないでいこうと、浪江町では2018年3月に始動するまちづくり会社を準備中。ここに暮らす住民が少ないからこそ一人で複数の役割が求められ、言い換えるならここなら、町のすべてに関われる、ということ。すぐに戻れない人たちも、働き方、関わり方を自由に選択できるよう、地域コミュニティと生業の両方のコーディネートを行う。兼業・副業なんて当たり前。二地域居住だってみんなやっている。アーティストが秋だけ鮭の簗場で、季節限定で働いてくれてもいい。
もともと兼業農家が多く、暮らしと生業が密接にあった場所で、大手資本に頼らない気質もあり、面白いことは自分たちでやってしまう。真っ暗だった町に明りが戻り、1つずつ町がつくられていくことの面白さ。戻っている人が今を楽しんでいる姿が、未来へもつながる最高の引き金になるはずだ。

人口ゼロからの挑戦。「加点法」でのまちづくり。

“変化”を楽しむ人々の挑戦

震災から6年半が経過した町。6年間、誰も住んでいなかった町。除染・復旧作業に続いて、公営住宅・医療施設など生活インフラも整備され、ここに住み、ここで生きることを諦めない人々と共に、正解のない問いに挑む姿がある。
「まち残し」「ゼロから希望を作る究極のまちづくりの現場」という言葉もあったが、商店街ができ、布団屋から和食屋、主婦がカフェオーナーに転身した。自動車板金業からまちづくりの中核を担う人材がうまれ、誰もいなかったまちに「プレミアムナイト」の賑わいが生まれる。ここには、震災前からこの土地に培われてきた“変化”を楽しむ人々の気質が確かにある。
一つずつ、丁寧につなげていくことで、何もないことは課題ではなくなる。そう、ここには、これまでとは違う視点で新たなことを作り出す可能性しかない。減点法から加点法のまちづくりへ。まちづくりに関わる役場職員、そして地元の事業者・住民たちと、ゼロからはじめる新しいまちとしての戦略を、ともに考える3日間。

集合・解散場所 / 時間

  • 集合

    9月29日(金) / 浪江駅もしくは福島駅から送迎

    時間 :

    浪江駅の方は17:00、福島駅の方は15:00

  • 解散

    10月1日(日) / 浪江駅もしくは福島駅まで送迎

    時間 :

    11:30に終了後浪江駅もしくは福島駅まで送迎

福島県浪江町(人口:約18,000人)

1日目

集合① 17:09 JR常磐線浪江駅(JR常磐線浪江着の電車時刻)
集合② 15:00 JR福島駅 新幹線西口改札
17:30~19:30 再開した居酒屋「いふ」にて歓迎会

※宿泊先は浪江町内にある「新妻荘」を予定

2日目

6年間人口ゼロだった町の復興状況を視察
復旧・復興の難しさや6年という時間の長さを感じながらも、今、始まっているさまざまな可能性に出会う
 8:30~10:00 津波被災地・中心市街地視察
 10:00~11:00 事業者訪問:NPO法人Jin
 11:00~12:00 酒田の水田(収穫前)、帰還困難区域内を車窓より視察
【昼】 なみえ焼そば
 13:00~14:00 事業者訪問:NPO法人ネクストライン
 15:00~16:30 パネルディスカッション
         アクツ電気/朝田木材産業(株)/川添芸能保存会
 16:45~17:30 振り返り
 17:45~19:45 夕食・懇親会

3日目

早朝 朝日を見に行く@大平山霊園(希望者)

どんなに困難でも諦めず、浪江町にこだわり続けた挑戦者でもある役場職員と今感じている可能性、今後の展望について意見交換
住民で何ができるかという減点法ではなく、加点法で、いかに機会と担い手を作っていくか。
多様な関わりを通して、一人ひとりの想いに火をつけ、価値をつくっていくか。
その鍵となるまちづくり会社の絵姿と、そのチームづくりの戦略を考える。
 9:00~11:30 ワークショップ(参加者3人グループ、職員をプラス)
  ①9:00~9:10ワークショップの全体説明
  ②9:10~9:30フィールドワークで感じたこと・気づいたことの共有
  ③9:30~9:40全体共有
  ④9:40~10:20なみえで加点できることは何か。
         浪江とつながるビジョン設定
         および具体的行動アクション
         (休憩含む個人作業、職員はリソース)
  ⑤10:20~11:00発表(一人5分)
  ⑥11:00~11:20職員からのフィードバック
  ⑦11:20~11:30クロージング(オーガナイザーより)

 11:35 浪江駅利用の方はここで解散
 14:00 福島駅西口にて解散(途中、川俣町で昼食)

オーガナイザー / 旅の主催者

菅野孝明
菅野孝明

1969年、川俣町生まれ。 建設コンサルタント、進学準備教育企業を経て、2012年にNPO法人ETIC.の「右腕プログラム」 浪江町復興支援コーディネーターに応募し採用される。 派遣後は、町民の広域分散避難の中での津波被災地復興および 中心市街地のまちづくり計画作成・調整支援、住民との合意形成支援を行ってきた。 2015年4月~9月まで他町村の支援のために一旦ふくしま市町村支援機構へ転職するも、10月からは浪江町に戻り、現在はまちづくり整備課計画係 主査として、町全体の復興事業のハード・ソフトの進行管理支援を行い、役場内の横断調整や課題解決支援を行っている。

旅の訪問先

持ち物

着替え、パジャマ、フェイスタオル、石鹸(ボディソープなど)、筆記用具
(ドライヤーやシャンプーなど、個別に必要なものはご持参ください。)

事前情報・事務局からのコメント

宿泊施設:新妻荘(浪江町大字川添字佐野39-3)
     和室(1室2~3名)
     アメニティはバスタオル、剃刀、歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプー・コンディショナー(供用)、ドライヤー(供用)

FW参加者は事前にこちらをご一読ください。
 浪江町のホームページ「なみえ復興レポート
人口ゼロからの挑戦。「加点法」でのまちづくり。

9月29日(金) - 10月1日(日)